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医療的ケア児に訪問看護サービスを提供する事業所「にこり」の福祉車両=2023年11月

 医療的ケアが必要な7歳の娘の人工呼吸器を外したとして、福岡市の44歳の母親が、殺人の疑いで逮捕された。福岡県警は経緯や動機について調べている。厚生労働省が2019~20年に実施した実態調査では、医療的ケア児の家族、とくに母親がときに孤独に陥りかねない状況が浮かび上がる。

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 アンケートで回答を得た843件のうち、主なケア者は母親が94%を占めた。家族のほかにケアを依頼できる人が「いる」は62.4%で、「いない」が37.6%だった。

 主にケアをしている人は家事の大半を担っており、ほかに家事を依頼できる人の有無を聞くと「いる」が50.4%、「いない」が49.6%とほぼ半々。

 ケア児から「5分以上目を離せるか」との質問には「できる」が59.2%、「できない」は40.8%と、片時も気を抜けない状況がうかがえた。トイレに入るのにも不安がつきまとう状況に「当てはまる」と答えた人も38.0%いた。

 家族の負担軽減のために、訪問看護や訪問介護、日中や宿泊の預かり支援、外出時のヘルパー同行、送迎支援などがある。

 利用にあたっての課題(複数回答)では、「医療的ケア児に対応可能な事業所が十分でない」が78.6%で最も多く、「医療的ケアに対応できる職員が少ない」が63.0%、「利用できるサービスの種類が十分でない」が42.3%と続いた。

 2021年9月、医療的ケア児支援法が施行され、それまで努力義務とされていた各自治体による支援が責務と明記された。各都道府県での支援センターの設置や、保育所や学校への看護師配置などを求めている。

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